中国の【一帯一路】と【社会主義市場経済】を押さえよう!
今回は中華人民共和国についてです。
ポイントは、現在の中国が狙っている一帯一路構想と、社会主義市場経済です。
中国の特徴や歴史ってなんだっけ?なんで今さらになって急に発展しているの?中国って色々あって貧しい国って聞いたのに…。
と思った方はこれを読んでざっと復習しましょう。
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現在の中国の狙い
2020年現在の中華人民共和国が狙っている構想について押えておきましょう。
それは、一帯一路(いったい いちろ)という政策です。
- 一帯(いったい):陸のシルクロード
- 一路(いちろ):海のシルクロード
一帯とは陸のシルクロードを意味し、中国からヨーロッパに鉄道や高速道を通し、中国ヨーロッパ間を繋げるという構想です。
そして、一路とは、海のシルクロードを意味し、中国からアフリカを経由しヨーロッパまでつなげる航路です。そのためにアフリカと提携し、色々とやっています。
なんで一帯一路をしたがるのか?
現在の国家主席である習近平は、かつての明の時代の中国を取り戻したいと言われています。
明は漢民族による王朝でしたが、その後は満州民族によって清ができ、ヨーロッパ諸国から狙われる立場になりました。
そして、現在の中国は90%が漢民族による国で、明の場合と似ています。そのため、今の中国はかつて強かった明のようになりたいと思っているわけです。
明の凄かったところ
大航海時代と聞くとコロンブスやマゼランなどが頭に浮かびます。
ですが、実は明の時代の鄭和(ていわ)が1405年から1433年にかけて、東南アジア・インド洋・アラビア半島・東アフリカまで船で渡っていることが分かっています。
ちなみにコロンブスが西インド諸島のバハマに到着したのが1492年、マゼランの世界一周が1519年ですので、90年前に世界への航海を成し遂げていたことが分かります。
(ただ、なぜだか歴史では取り上げられません)
また、船の規模も尋常ではなく、コロンブスの乗っていた船サンタ・マリア号の全長が25メートルで船団数3隻・総乗組員90人でした。
対して鄭和の船の全長が120mで船団数62隻・総乗組員2万8000人でした。この時点で、船においてかなりの技術の差があったことが分かります。
中国って貧しいの?発展しているの?
さて、年代によっては『中国は共産主義で貧しいイメージがあるけど、最近どうなの?』と思っている方も多いでしょう。
中国の歴史については、【台湾】と【李登輝】についてざっくり理解するでも紹介しましたが、現在の中国のもとは、中華民国において『メインの党だった国民党と争う形で生まれた共産党』がもとになっています。
この共産党は裏でソ連から支援を受けていたわけですね。その時のリーダーが毛沢東で、1949年に中華人民共和国を建国します。
毛沢東(もうたくとう)の時代
そして、毛沢東が政権を握っていた時代の政策は以下になります。
- 大躍進政策:国民の財産を没収し国有化
- 百科斎放:反乱分子のあぶり出しと処刑
- 文化大革命・紅衛兵:学生による革命を促す。文化遺産や道徳が壊れる
- 一人っ子政策:人口増加に伴い、食糧が維持できなくなったため行う
ですが、詳しくはここでは説明しません。おそらく皆さんが聞いたことがある政策はこの辺りでしょう。
鄧小平(とうしょうへい)の時代
毛沢東が亡くなってからは、鄧小平が中国の経済を回復させます。
- 社会主義市場経済の導入
- 経済特区による海外企業の誘致
大きくはこの二つと言えます。
社会主義市場経済というのは、政治体制は社会主義だけれども、マーケットは資本主義というものです。言葉で説明するのが難しいのですが、商売に関しては資本主義の国と変わらないけど、政治体制に関してはある程度制限されていると認識していただければOKです。これによって中国の市民は財を持てる者が増えました。
また『経済特区による海外企業の誘致』というのは、法人税が低い地域を作り、そこに海外からの企業が来てくれるような体制を作ったということです。
中国版タックスヘイブンとも言えます。納める法人税が安いため、海外から多くの企業がやってくるわけです(中国と合弁会社作らなければならないという条件があるのですが)。
このような政策で、中国は加速度的に成長していきました。
鄧小平は、『国が強くなるためには、まずは国民が豊かになる必要がある』と確信していたそうです。現在の中国の劇的な成長は、鄧小平なしに語ることはできません。ちなみに鄧小平は国家主席にはなっておらず、共産党の最高指導者という裏のトップでした。
現在:習近平(しゅうきんぺい)
そして、飛んで2020年現在が習近平国家主席です。一帯一路の構想で動いています。
しかしながら、昔と比べ、中国人の労働力の値段が上がってきています。
昔は中国の都市部のみが発達していたため、そこに多くの労働者が勝手に集まり、結果的に労働力が安く済みました。
ですが、今では地方でも開発が進んでいるため、わざわざ都市部に行く必要がありません。結果として中国の労働力の値段が高くなってきています。
そのため、中国から撤退し、もっと安い労働力の国に移っている企業もあります。
とはいえ、中国のIT企業BATH(バイドウ・アリババ・テンセント・ファーウェイ)の発展もあるため、中国の発展はしばらくは止まらないと言えます。
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中国の特徴
中国は人口13億人で、共産党がトップの国です。
中国にも憲法はありますが、その上に共産党があります。日本では日本国憲法をもとに、法律や天皇がそれに従う形になります。この時点ですでに大きな違いです。
どういうことかと言うと、中国の憲法に『市民には選挙権や言論の自由がある』と書いてあるからと言って、それを解釈するのは共産党です。もちろん軍隊も共産党に従う形になります。
民族問題
中国は、9割の漢民族と残り1割で55の民族が存在します。
中国では、少数民族による民族独立運動もかなり痛い問題です。
中国の西にある、新疆(しんきょう)ウイグル自治区とチベット自治区は特に顕著です。ちなみに自治区というのは、残り1割の少数民族が主体となって収めている地域のことです。
新疆ウイグル自治区
新疆ウイグル自治区はトルコ系イスラム教徒の自治区です。1933年と1944年に独立を目指し、東トルキスタン共和国を作りますが失敗に終わります。また、2009年にもウイグル人の不満が爆発し、暴動が起きています。
ちなみにですが、中華人民共和国を建国した毛沢東は宗教が嫌いでした。日本のお坊さんと違い、僧侶となると結婚はできないし、子供も生まれません。また、『求めすぎない』精神が国力を低下させると思っていたからです。
チベット自治区
チベット族が主体で、宗派はチベット仏教です。チベット自治区はもともと独立国でしたが、現在は中国によって支配されています。
こちらも2008年に北京オリンピックと合わせてチベット独立のデモを行っています。
チベットというと、チベット仏教のトップであるダライ・ラマが有名です。
現在のチベットでは、ダライ・ラマの後継者(次世代のダライ・ラマ)を決める際に、共産党の息がかかった者が決めてしまうのでは?と危惧されています。
このように、チベットでは転生することが信じられているため、次世代のダライ・ラマは、現代のNo.2のパンチェン・ラマが、次世代のパンチェン・ラマがは現世代のダライ・ラマが決めることになっています。
そして問題になっているのが、次世代のパンチェン・ラマが中国に拉致され、代わりに共産党が選んだパンチェン・ラマが出てきます。
このままでは次世代のダライ・ラマを選ぶ際に、共産党が選んだパンチェン・ラマを通して、中国によってこれからのチベットが決められてしまう事が危惧されるわけです。
香港での問題
特に香港では一国二制度が崩れ、香港の民主主義(国民が主体である権利)が危ぶまれています。
香港で現在起こっているデモは、民主主義国家がみんなもっている言論・表現・選挙の自由に関するデモです。それらの自由が、ジワジワと制限されていることで、香港でデモが起きています。
台湾での問題と南沙諸島埋め立て
また、台湾との関係も大きな問題です。
中華人民共和国としては、台湾も中国のものと考えています。
しかしながら、台湾で民進党ができてからは、台湾独立の動きが強くなってきています。
現在は、民進党の蔡英文が総統(一番偉い人)になっており、中国はかなり警戒しています。
その為、台湾の下の方にある南沙諸島の土地を埋め立て、軍事基地を建設しています。
これは、台湾が独立すると言った瞬間に、すぐにでも抑え込めるようにという意図と思われます。
また、台湾はアメリカと台湾関係法を結んでいるため、台湾で何かあれば、グアムからアメリカが飛んでくるようになっています。
南沙諸島の軍事基地は、アメリカ軍を警戒してのこととも言えるでしょう。
まとめ・考察
民族問題から香港・台湾の問題まで、なぜ中国は領土にこだわっているのでしょうか?
これはおそらくですが、元をたどっていくと、一帯一路構想に行きつくのかなと思います。
新疆ウイグル自治区やチベットのすぐとなりには、中東が見えます。一帯一路のうちの一帯を押さえるためには、この二つの自治区が独立されると困るわけです。
また香港・台湾は一路(海による航路)でしょう。台湾は微妙な所でしょうが、特に香港は中国としては押さえたいのだと思います。