【香港・マカオ】についてざっくり理解する

世界史

香港・マカオは、現在は、中華人民共和国の特別自治区に指定されています。
また、後半では香港でちょくちょく起こっている運動についても触れたいと思います。

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香港・マカオは別の国が支配していた

香港はイギリスが、マカオはポルトガルに支配されていました。

ですが、香港は1997年に、マカオは1999年に中華人民共和国に返還されています。以下の図を見てみましょう。

左の『香港とマカオを始まりとして』、右の『中華人民共和国返還された』という事実がまずは分かれば大丈夫です。

マカオの歴史

マカオは明の時代からポルトガル人が住んでおり、明政府から居留権(マカオに居てもいいよ)という権利が認められていました。

しかしながら、イギリスが香港を占領してからというものの、ポルトガルも流れに乗ってマカオを占領します。
ですが、1976年にポルトガルで社会主義革命が起き、持っていた植民地を放棄します。その間しばらくはマカオによって自治されていましたが、その後、1999年に正式に中国に返還されます。

香港の歴史

香港は、アヘン戦争を機にイギリスに占領されます。
最初は香港島を永久割譲でした(要するに、永遠にイギリス領ということ)。

しかし、その後は九龍半島の南を永久割譲します。そして、日清戦争を機に、九龍半島の北と周辺の島々99年租借します。ちょっと何言っているか分かりませんね。図にすると以下のようになります

香港というと、香港島のみと思いがちですが、正確には『九龍半島の一部および、香港島とその周辺の島一帯』のことを香港といいます。そして、青枠内の赤枠エリアを除いた場所が99年間租借した領土です。

なぜ香港を返還した?

1997年に租借した領土のみ返還期限がきたわけですが、イギリスは永久割譲を含む香港全域を中国に返還します。

というのも、香港全域が、租借した北側に食料や水道などを依存しているため、南のイギリス領には物資を渡さないという状況になるとやっかいです。そのためイギリスは香港全土を返還しました。

資本主義から社会主義への混乱

香港・マカオは資本主義のイギリス・ポルトガルに支配されていたことは説明しました。

中国に返還されるとなると、急に社会主義の国に支配されることになるわけですので、不安のため香港・マカオから逃げ出す人が増えます

香港・マカオの経済力を手に入れられると思った中国は、このまま人がいなくなってしまうと、経済低下は否めないと判断。ある制度を実施します。

一国二制度

香港・マカオにおいては、50年間は資本主義でもOKという制度を打ち出しました。

中国自体は社会主義ですが、香港・マカオの特別行政区は、資本主義を特別に認めるという事です。資本主義を認めるし、言論・表現の自由も認められています。

また、特別行政区というのは、中国において高度な自治が認められているところです。軍隊は中国が持ちますが、それ以外の自治は任されています。例えば行政区独自の法律が適用されたり、パスポートの発行が認められているなどがあります。

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香港の自治が危ぶまれている

さて、そんな高度な自治を持つ香港・マカオですが、特に香港では、この自治が危ぶまれており、反対運動が起こっています。

その理由の一つが普通選挙です。

香港は中国に返還されてから特別行政区となり、資本主義経済が認められていたわけですが、ひとつだけ制限がありました。
それが普通選挙です。香港における、大統領と同等な地位である行政長官を選ぶ選挙権は、実質的に香港市民にはありませんでした。

香港基本法によって定められた選挙

香港返還時に定められた香港基本法では、

  • 香港市民をする1200人の選挙委員が、行政長官を決める
  • だけども、選挙委員1200人の過半数は中国の共産党の息がかかった人たち、他は職業の団体

となっていました。要するに、中国政府が用意した共産党が、香港の長である行政長官を決めるという事です。

2017年以降の選挙制度

しかしながら、2017年には香港市民に直接選挙が与えられることが約束されました。
香港市民は一安心となったわけですが、ふたを開けてみれば以下のような構成になっていました。

  • 行政長官候補を出す指名委員会を作り、行政長官の立候補者を決める
  • その立候補者を、香港市民が普通選挙で選ぶ ←ココですね
  • 指名委員会の過半数は中国共産党の息のかかった人たち

となっていました。
やっと普通選挙が認められると思ったら、完全には香港市民が選ぶことはできません。これによって、学生たちによる反対運動が起きます。それが雨傘運動です。

言論・表現の自由も危ぶまれる

また、普通選挙の自由以外にも、言論・表現の自由も制限されてきています。

香港において、習近平国家主席や、共産党のやり方を批判する本を売っていた書店の株主が消えるという事件が起きました。真相はよく分かっていませんが、香港における自由がだんだんと制限されていることは確かな様です。

まとめ

香港とマカオについて、後半では香港における自由がだんだん制限されているということに触れました。
返還されてから50年ほどは資本主義となっていますが、実際はどうなるのでしょうか。2050年近くになってみないと分かりません。