濃茶と薄茶と茶事と茶会と

知識(茶道) 茶道

ここでは茶事と茶会について説明します。
一言で言うと、茶事は厳粛、茶会はわいわい楽しむ場になります。

  • 茶事:かなり厳粛な場
  • 茶会:カジュアルな場

では、それぞれ見ていきましょう。

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茶事(ちゃじ)

茶事は亭主が日時や客一同の席順を定め、少人数の客を招いて炭手前、懐石、濃茶、薄茶点前で、もてなすこと事です。一つ一つ流れを書いてしまうと、多くなってしまうので、まず、大まかな流れを紹介します。ここでは風炉によるお点前で解説します。

  • 1.待合(まちあい)
  • 2.初座(しょざ)・前席(ぜんせき)
  • 3.後座(ござ)・後席(ごせき)
  • 4.退席(たいせき)

以上、4つにわけることができます。まずは、この4つを覚えましょう。大体の流れを覚えたら、次はさらに一つ一つ見ていきます。

待合(まちあい)

中でもさらに3つに分けることができます。

  • 1.1 寄席・待合(よせ・まちあい)
  • 1.2 腰掛待合(こしかけまちあい)
  • 1.3 迎付(むかえつけ)

1.1寄席・待合の部分は、待合や寄席という部屋で、お客様がそろうのを待つことです。お客様がそろうと、白湯(さゆ)や香煎(こうせん)をいただきます。
いただいた後は、露地(ろじ:茶室の庭)の腰掛待合という場所に向かいます。これが1.2の腰掛待合ですね。

1.3 迎付では、先ほど待合にいたお客様が、腰掛待合というところにまっていますので、亭主(お茶を点てる方)がそこまでお客様を迎えにきます。亭主・お客様、双方がここで初めて顔合わせします。

2. 初座・前席

迎付(むかえつけ)の後、蹲踞(つくばい)で心身を清め、茶席に入ります。席入り後、床の間を拝見します。その日メインの掛物が掛けられています。そして、亭主とお客はそれぞれあいさつを交わします。そして、いよいよお茶席が始まるのかと思いきや、少し違います。

  • 2.1 懐石(かいせき)
  • 2.2 初炭(しょずみ)
  • 2.3 主菓子(おもがし)
  • 2.4 中立ち(なかだち)

亭主とお客があいさつを交わした後、膳(ぜん)が運び出され、2.1 懐石がはじまります。懐石は用は、お食事です。旬の食材を使った、一汁三菜の料理を頂きます。お酒を酌み交わしながら、歓談のひとときになります。

その後、2.2 初炭では、後蓙で行う濃茶のために、亭主が風炉に炭をついで湯を沸かします。その後、趣向や季節に合わせた 2.3 主菓子が出されるので、いただきます。

お菓子を頂いた後は、亭主は後座の準備に取り掛かります。そのため、お客は路地の腰掛待合で用意が整うのを待ちます。これを2.4 中立ちと言います。

そして、亭主が後座の準備が整うと、外の腰掛待合で待っているお客に対して、銅鑼(どら)などの音で知らせます。お客はそれを合図に、再度、後座のため席入りをします。

3.後座・後席

ここで、やっと薄茶、濃茶が登場します。

  • 3.1 濃茶
  • 3.2 後炭
  • 3.3 薄茶

厳粛な雰囲気の中で3.1 濃茶が練られます。客一同で順服し味わいます。その後、3.2 後炭をし、今一度火を整えます。そして、3.3 薄茶が始まります。薄茶では濃茶の時と打って変わって、亭主と客が語らいながらお茶を頂きます。

4.退席】

最後に、お客は一会(いちえ)のお礼を述べ、4.1 退席します。最後立ち去るときに、お客は躙口(にじりぐち)の外で無言の一礼をします。

どうでしょうか。濃茶でお客の会話である『前席では、大変結構なお菓子を…』という会話が出てくる意味が分かります。
前席とは、初座のことですから、そこでいただいたお菓子のことを意味します。

そして、見てわかった通り、茶事は茶道中・上級者向けの催しものになります。お客が茶道をやったことのない方ですと、勝手が分かりませんので、うまく茶事を進めることができません。茶道は、お茶を点てる亭主と、それをいただくお客によってよい席にしていくものですので(一座建立:いちざこんりゅう)、それが顕著に表れる茶事は上級者向きといえます。

次にもう一つの茶会についてみていきましょう。

茶会(ちゃかい)

茶会は、茶事の一部分を独立させて、簡略化した形式です。たいてい大人数を招いて開催されます。薄茶一服だけのものから、濃茶、場合によっては点心(てんしん)のような軽い食事の席が設けられることもあります。

こちらは茶事を簡略化したものですから、初心者の方でも少しハードルが下がったといえます。

  • 1.受付・待合
  • 2.薄茶席 or 濃茶席 or 立礼席(りゅうれいせき)
  • 3.(あれば天心)
  • 4.退席

茶事よりかなり簡略化されているのが分かると思います。
受付では、あらかじめ購入した茶券を渡し、芳名録(ほうめいちょう:ノートみたいなもんです)があれば、所属と自分の名前を書き込みます。その日、どこの誰が来たのかをあとで見返すために書き込みます。

その後、荷物などをあずけ、待合に案内されます。そのあとは、催す内容によって、薄茶か濃茶かなどになります。立礼は椅子に座りながら頂ける形式のことです。
そして、場合によっては軽い食事をする場合もあります。それを天心席といいます。そして最後に退席をして終了になります。

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締め

どうだったでしょうか?茶事や茶会を知ると、今やっているお稽古は、この部分なんだな、とか、前席ということは、茶事をしているシチュエーションなんだな、とかいろいろ考えることができる幅が広がります。

(参考、文献)・淡交社 茶道文化検定公式テキスト4級 今日庵 茶道資料館