エントロピーについて理解する

化学

ここではエントロピーについて解説する。
熱力学を飛び越えて何かとよく耳にするエントロピー。これは一体どのようなものなのか。

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エントロピーとは

エントロピーとは乱雑さの事。
放っておいても分子が勝手にわちゃわちゃ動き、膨張していくイメージを数式化したもの、と思うと良い。

ややこしいのが、可逆過程のときと不可逆過程の時で定義が異なるということだ。

不可逆過程の時

不可逆過程の時
$$ T \cdot dS = dU + p \cdot dV \dots (1)$$

Tは温度[K]、dSはエントロピーの増加量[J/K]、dUは内部エネルギーの増加量[J]、pは圧力[Pa]、dVは体積の増加量のことである。
不可逆過程と呼ばれる場合は、上記の式を使用する。

では実際にエントロピーSを求めてみる。
といっても熱と仕事は考えないとする。つまり、熱力学第一法則から
$$ \delta Q = dU + \delta W $$
熱と仕事に変化はないので、$\delta Q = 0, \delta W = 0 $
$$ dU = 0 \dots (2)$$
ということで、内部エネルギーの変化もないことが分かる。
(1)式に(2)を代入すると、
$$ T \cdot dS = p \cdot dV \dots (1)’$$

さらに、理想気体の状態方程式より

$$ p \cdot V = m R_g T \rightarrow p = \frac{mR_g T}{V} $$
上記を$(1)’$式に代入し、Tを両辺を割ると
$$ T \cdot dS = p \cdot dV \rightarrow dS = \frac{mR_g}{V}\cdot dV$$

となり、両辺積分をすると
$$ \int_{S_1}^{S_2} S = \int_{V_1}^{V_2}\frac{mR_g}{V}\cdot dV $$
よって

$$ S_2 – S_1 = \varDelta S = mR_g \ln \left( \frac{V_2}{V_1} \right) \dots (3)$$

したがって(3)式が、熱と仕事の変化が無いときのエントロピーとなる。
さらに、$ V_2 > V_1 $より、$ \ln \left( \frac{V_2}{V_1}\right) > 0 $である。従って、

$$ \varDelta S = S_2 – S_1 > 0 \dots (4)$$

となり、エントロピーは増大することが分かる。

可逆過程の時

そして、可逆過程のときは

可逆過程の時
$$ dS = \frac{dQ}{T} $$

で定義される。
そして、これ以上深入りすると後戻りできないため、ここまでにしておく。

そもそもなぜエントロピーを考えるか

なぜエントロピーを考えるようになったかと言うと、『熱量も仕事も加えていないのに、状態は異なるときがある』からだ。

例えばシリンダーに気体を入れてピストンでふさぐとする(状態1)。
すると、中の気体分子は激しく移動しながらいろいろな方向に飛ぶため、少しだけ膨張する(状態2)。この時の状態を熱力学的に考えて見る。

熱力学第一法則より、
$$ \delta Q = dU + \delta W$$
で$\delta Q$は過熱量、$dU$は内部エネルギーの増加量、$\delta W$は外部仕事を表す。
ここでは熱量も仕事も加えていないということから、両者に0を代入すると、
$$dU = 0$$
となり、内部エネルギーに変化はないことが分かる。

つまり、エネルギー的にはどちらも変化はないことが分かる。
だが、状態としては明らかに違うため、違いを表す表現する式が必要になる。それをエントロピーで表現したというところだろうか。

そしてこの条件のもとに求めたエントロピーが(3)式である。

熱力学第2法則

また、エントロピーが増大するというのは、自然法則に従っている。
現に(4)式のようにエントロピーは増加していることが分かる。

エントロピーのよくある合説明をしていく。
仕切りをした箱の中にそれぞれの部屋に気体Aと気体Bを入れ、仕切りを外したとき、それぞれの気体を混じり合う。これは単独で存在していた気体Aと気体Bよりも乱雑さが増しているため、エントロピーが増大している。外から何かしらの力を加えない限り、ふたたび単独の気体Aと気体Bになることはない。

また、熱いものと冷たいものをくっつけたとき、基本的に『熱いもの → 冷たいもの』という流れで熱は移動する。
すなわち、先程の仕切りをしていた気体Aと気体Bの時と同様、混じりあうようになる。

反対に『冷たいもの → 熱いもの』という流れになったとすると、冷たいものはより冷たく、熱いものはより熱くなってしまう。
これは先ほどの例にあった、『一度混じりあった気体Aと気体Bが、ふたたび気体の種類ごとに集まることない』事と同じように、外部から力を加えない限り起きえない現象である。

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まとめ

エントロピーのまとめ

  • エントロピーが大きいとは、乱雑さが大きい
  • 不可逆過程:$ T \cdot dS = dU + p \cdot dV$
  • エントロピー変化:$\varDelta S = mR_g \ln \left( \frac{V_2}{V_1} \right)$
  • 熱力学第2法則:エントロピーは増大する
  • (可逆過程:$ dS = \frac{dQ}{T} $)