質量mと分子数nの理想気体の状態方程式

化学

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3種類の状態方程式

理想気体の状態方程式には3種類ある。
今回は3種類の方程式の違いについて述べる。

$$ p \cdot V = n R_u T \dots (1)$$

$R_u$は一般気体定数、nはモル数
上記は一番初めに習う方程式ではないだろうか。

上記を変換したものが以下になる。

$$ p \cdot V = m R_g T \dots (2)$$

$R_g$は気体定数、$m$は質量

そして最後にもう一つ、ボルツマン定数を使った状態方程式がある。

$$ p \cdot V = N k_B T \dots (3) $$

$k_B$はボルツマン定数であり、Nは粒子の数である。

しかしながら、今回は(1)式から(2)式を導出していくことに重きを置く。

質量=モル数×分子量

まずは質量とモル数と分子量の関係について述べる。

モル数とは、$1 \mathrm{mol} = 6.0 \times 10^{23}$個として、何モルあるか表している。
そして分子の分子量Mとして分子を$1 \mathrm{mol}$かき集めると、$\mathrm{M}[\mathrm{g}]$になることが知られている。

すなわち、$ \mathrm{m} [ \mathrm{g} ] = n[\mathrm{mol}] \times \mathrm{M}[ \mathrm{g/mol}] $という訳だ。
また、㎏に変換して、

$$ \mathrm{m}[\mathrm{kg}] = \mathrm{n}[ \mathrm{ mol }] \times \mathrm{M}[ \mathrm{g /mol }] \times \frac{1}{1000}$$

となる。

気体定数

次に気体定数について解説する。
ガス定数とも呼ばれるが、ややこしいのが、(1)式と(2)式で使用されている気体定数が別ものであることだ。
(1)式の理想気体の状態方程式:
$$ p \cdot V = n R_u T $$ 
の場合は、モル数$n$がある。
ここで質量と分子量の関係:$ \mathrm{m} = \frac{ \mathrm{n} \times \mathrm{M} }{1000} \rightarrow n = \frac{m \times 1000}{M} $から、(1)式のnに代入すると、

$$ p \cdot V = \left[\frac{m \times 1000}{M} \right] \times R_u \times T $$

よって、質量mに変換するために気体定数$R_g$を新たに定義して、代入すると、

$$ p \cdot V = \mathrm{m} \times \frac{1000\times R_u}{M} \times T $$
に対して、
$$\mathbf{ R_g} = \frac{1000 \times R_u}{M} \leftarrow コレ$$
を定義すると、
$$ p \cdot V = m \times \mathbf{R_g} \times T $$
となる。

まとめ

理想気体の3つの状態方程式について。

  • 3種類の理想気体の状態方程式がある
  • (1)式から(2)式における気体定数の変換
    $$ \mathbf{ R_g} = \frac{1000 \times R_u}{M} $$

ただ、こういうのは暗記するのではなく導出するもの。
ポイントはモル数の方の状態方程式$p \cdot V = nR_uT$と、質量と分子量の関係式$ \mathrm{m} = \mathrm{n} \times \mathrm{M}$を使う事。
その2点から導出できる。