地球の中心まで穴をあけた問題を解いてみる

数学

今回は

で紹介されていた問題について解いてみようと思う。
とはいっても、0:22を見てみると、式も与えられているので、後は値をぶち込むだけだ。

地球の中心まで掘った穴に物体が飛び込んだ時、落ち始めてからの10分後の速さはいくらか?
$t$病後の物体の地球の中心部からの距離$x$は、
$ x = R \cos\left(\sqrt{\frac{g}{R}}t \right) $であり、
速さは$x$を$t$で微分した値の絶対値で求められる。

$重力加速度 g = 9.8 m/s^2 $
$地球の半径 R = 6370 km$
単位は$[km/h]$として、有効数字3桁で求めよ。ただし、必要であれば$\sin(0.744)=0.677$、$\sqrt{65}=8.06$としてよい。

勘の良い人は『こんなの微分して値ぶち込むだけやんけ!』とすぐわかる問題であり、電卓があれば済む問題である。

が、今回はせっかくなので、電卓を使わずどこまで行けるかやっていきたいと思う。
ただ計算を頑張った記録が書かれているだけなので、そこはご了承いただきたい。

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まずは微分するで

まずは微分。微分すると速度の式になるので、微分する。
すると、

$$ x’ = -\sqrt{\frac{g}{R}}R \sin\left( \sqrt{\frac{g}{R}}t \right)$$

となるが、マイナスが出てしまいあれれ?大丈夫かな?となってしまう。
しかし、問題を見ると、これの絶対値が速さで良いよと言っているので、結局

$$ v = \sqrt{\frac{g}{R}}R \sin\left( \sqrt{\frac{g}{R}}t \right) $$

となる。

こいつに値をぶち込んでいく訳だが、ちょっと大変なので分けて考えてみる

速さの式を分けるよ

$$ v = \sqrt{\frac{g}{R}}R \sin\left( \sqrt{\frac{g}{R}}t \right) $$

に対して、

$$ \sqrt{\frac{g}{R}}t \dots ①$$
$$ R \sqrt{\frac{g}{R}} \dots ②$$

の部分をまず出していこう。

①式を解いていく

tは10分なので、60秒×10で600が入る。
また、それぞれの値を代入していくと、

$$ \sqrt{\frac{g}{R}}t = \sqrt{\frac{9.8}{6370 \times 10^3}}\times6 \times 10^2$$

となるが、電卓は使いたくない。

ここで、
$9.8 = \frac{98}{10} = \frac{2\times 7\times 7}{10}$
6370を素因数分解すると、$ 6370 = 5\times2\times7 \times 7\times13$、よって、

$$ \sqrt{ \frac{2 \times 7\times 7}{10^4 \times 5 \times 2 \times 7 \times 7\times 13}} \times 6 \times 10^2$$

となり、約分すると

$$ \frac{1}{\sqrt{65}} \times 6$$

とすっきりした形になる。

で、問題文に戻ると、$\sqrt{65} = 8.06$を使っても良いとあるので、この条件を使いたいところだが、分母に来ているのがネック。
そこで有理化をおこなう。

$$ \frac{1}{\sqrt{65}}\times \frac{\sqrt{65}}{\sqrt{65}} \times 6 = \frac{6}{65} \times \sqrt{65}$$

で、ここでやっと計算をすると

$$ 923 \times 10^{-4} \times 8.06 = 0.744$$

となる。
手計算は少々きついが、頑張って計算してほしい。

②式を解いていく

次は②式を解いていく、

$$ R \sqrt{\frac{g}{R}} = \sqrt{R^2} \times \frac{\sqrt{g}}{\sqrt{R}} = \sqrt{R} \sqrt{g} = \sqrt{Rg}$$

で値を入れて、素因数分解すると、

$$ \sqrt{9.8 \times 6370 \times 10^3} = \sqrt{ \frac{2\times 49}{10} \times 2 \times 5 \times 13 \times 49 \times 10 ^3 }$$
$$ = \sqrt{2\times 2 \times 49\times 49 \times 5 \times 13}\times 10$$

よって

$$ ②= 2 \times 49 \times \sqrt{65}\times 10$$

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答えを出していくよ

いよいよ答えを出していく。
速さの式は、

$$ v = \sqrt{\frac{g}{R}}R \sin\left( \sqrt{\frac{g}{R}}t \right) $$

だった。
このうち、$ \sin\left( \sqrt{\frac{g}{R}}t \right)$は①式より、

$$ \sin\left( \sqrt{\frac{g}{R}}t \right) = \sin( 0.744 ) = 0.677$$

となる。これは最初に書いてるヒントをそのまま使っている。

よって、

$$ v = \sqrt{\frac{g}{R}}R \times 0.677$$

となり、②で求めた値をゴリゴリ入れていくと、

$$ v = (2 \times 49 \times \sqrt{65}\times 10)\times 0.677$$

を求めればいい訳だが、このままだと$m/s$であるので、$km/h$に直す必要がある。
秒速を時速にする場合は3600秒をかければよく、またキロメートルで表示したいのなら1000で割ればいいので、
(ちなみに、普通にミスった)

$$ v = (2 \times 49 \times \sqrt{65}\times 10)\times 0.677 \times \frac{3600}{1000} $$
$$ = (2 \times 49 \times \sqrt{65}\times 10)\times 0.677 \times \frac{36}{10} $$
$$= (2 \times 49 \times \sqrt{65})\times 0.677 \times 36 $$

で、$\sqrt{65} = 8.06$なので

$$ v = 49 \times 36 \times 2 \times 8.06 \times 0.677$$

で、これを計算すると、$1.93\times 10^4$と出てくる。
よって、答えは$1.93 \times 10^4 km/h$となる。

感想

というわけで、電卓一発で出すのではなく、式変形をして最後の最後に計算する形で値を出してみた。
あたかも一発で出したような感じだが、速度の変換で普通にミスったし、5回ぐらい解いても違う答えになったので悲しくなった。

これが制限時間付きで、テレビで放映されている中で解けと言われたら無理かな。