現代の【通貨】は【負債の一種】らしい

お金 現社

目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室に、通貨に関する面白い話が載っていたので紹介したいと思います。
通貨と言うと難しいですが、お金が使われた始まりは何かという話です。

おそらく皆さんは、以下のような形で習っているのではないかと思います。

お金とは、もとを辿ると物々交換から始まった。その後『あるモノと同等な価値を表す、携帯性の便利なもの』として金や銀などを加工した硬貨が登場した。
その硬貨が、今では紙の貨幣となって流通している。

どうでしょうか?大体こんな感じではないでしょうか?
この考え方は商品貨幣論という思想に基づく考え方です。

一方で、今回紹介する内容は、現代の通貨は負債の一種であるという信用貨幣論のお話をしたいと思います。

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信用貨幣論の位置づけ

さて、ちょっとややこしいので最初にまとめてしまいましょう。

  • 金本位制:商品貨幣論
  • 不換通貨:信用貨幣論

漢字ばかりでなんのこっちゃですが、ひとつずつ見ていきましょう。

金本位制と不換紙幣

金本位制と言うのは、保有している金の延べ棒と同価値の貨幣を発行する方法です。
持っている通貨は、どれと同等な価値の量の金と交換できました。

貴金属による貨幣のとりあえずの始まりは、スペインの銀本位制からです。
そして19世紀にイギリスが金本位制に移行し、輸入にあやかりたい各国も金本位制に移行します。第二次世界大戦直後、金・ドル本位制に移行します。つまり、ドル紙幣だけが金の延べ棒と交換可能だった貨幣システムです。

ですがこの体制は、1971年のニクソン・ショックをきっかけに廃止されます。
つまり、ドル紙幣であっても、金と交換できないよと言う世の中になったという事です。これをきっかけに、自動的に世界は不換通貨の時代へシフトます。


不換通貨となると、国は勝手に通貨を発行できるようになります。

この辺りまでが、皆さんが授業で習う貨幣の話ではないのでしょうか。つまるところ、『昔は金と交換可能だったんだけど、今はできませーん』ぐらいで覚えていると思います。

商品貨幣論と信用貨幣論

金本位制から不換通貨になった、というのは貴金属と交換できなくなっただけで、特に変わらないと思っているかもしれません。

ですが、両者には大きな違いがあります。貴金属を元手にした金本位制や金・ドル本位制は、商品貨幣論に基づくもので、不換通貨は信用貨幣論に基づく考え方です。

ちなみに、今話題になっている仮想通貨も商品貨幣論に値します
>> 【仮想通貨】は【国の通貨】にはならないって話

まとめると、

  • 金本位制は、商品貨幣論に基づくものらしい。
    貴金属と交換可能という意味で、商品貨幣論か。なるほど。
  • 不換通貨はどうやら信用貨幣論に基づくものらしいが、どんなものかはよく分からん。

この辺りまで何となく分かったら、次は信用貨幣論の詳細に入っていきましょう。

信用貨幣論の詳細

いよいよ信用貨幣論について説明していきましょう。

信用貨幣論は、信用を元手に貨幣を発行します。

物々交換であれば、瞬時にその取引が終わるため、信用や負債はありません。ですが、次の例のように取引の瞬間が異なる場合を考えてみましょう。

ロビンソン・クルーソーとフライデーしかいない孤島

この話は、『ロビンソン・クルーソーとフライデーしかいない孤島』の話です。

ロビンソン・クルーソーが春に野イチゴを収穫して、フライデーに渡す。その代わりに、フライデーは秋に取った魚をクルーソーに渡すことを約束する。

ロビンソンとフライデーって誰やねんということで、AとBに置いてみましょう。

Aは春に野イチゴをBに渡す。
代わりにBは、秋に魚を渡すことを約束する

ということです。

瞬時に終わる物々交換ではなく、春と秋で取引の瞬間が違う事に注目してください。

野イチゴを渡したとき、AはBに対する信用が生じています。
BにはAに対する負債が残ります。そして、秋になってBがAに魚をあげることで、Bの持っていた負債は解消されます。

もう少し分かりやすくしてみる

春にAがBに野イチゴを渡すところに戻ってみましょう。
このとき、AはBに野イチゴを渡しますが、Bは『秋に魚あげる』という借用証書を渡すようにします。

AはBを信用して野イチゴを渡した代わりに、Bは『秋に魚を渡す候』という使命を果たさなければなりません(つまり負債)。

そして、秋になったらBは魚を取ってAにあげます。すると、その借用証書を回収できますね。

勘の良い方はこの辺りで気づくかもしれません。この証書が貨幣になります。
Bは『秋に魚を渡す』負債を負ったわけです。この負債を表す借用証書が、通貨の代わりとなります。

通貨の代わりとなるので、Aはその証書で別のCのモノと交換することもできるわけです。
つまりは、通貨は負債の一種であることがわかりました。

また、現実世界では、AとBの他にも、あらゆるところで信用と負債の関係が生まれます。この借用度合いを共通の数字に落とし込んだものが、ドル・ポンド・円などの通貨の単位ですね。以上が信用貨幣論の話になります。

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まとめ・参考文献

まとめです。

  • 今の通貨は不換通貨であり、信用貨幣論に基づく考え方であること。
  • 信用貨幣論とは、『通貨は負債の一種である』という考え方。

ですがお金が負債であると言われると、自分のお給料も負債なのかな?と思いますよね。次回はそのあたりを紐解くことができればと思います。