【ユダヤ教・キリスト教・イスラム教】遷移の歴史
今回は世界の教養・文化である宗教について取り上げたいと思います。
ここで取り上げる宗教は
です。
日本人は(仕方ない事なのですが)宗教にうといです。
日本人にとって、『宗教は怖いもの』というイメージがついていますが、
世界にとっては『宗教は教養・文化の一部』です。
一部細かい違いはあるかもしれませんが、
ざっくりとした内容はこれで分かると思います。
適当に学んでしまうと『結局何なのよ?』、となってしまうため、
頭に残るように『一言で言うと』という形でまとめてみました。
内容はかなり端折っていますが、
『まったく知らない』より『6割程度ざっくり知っている』、
方がいいと思います。
興味を持った方はぜひ聖書を読むなり本を読むなりして調べてみてください。
では、見ていきましょう。
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三宗教の共通点とポイント
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教
これら三大一神教は、
同じ中東で生まれ、同じ神を信じ・同じ聖地である
ということ。
また、ユダヤ教→キリスト教→イスラム教と、あたかも話が続いているように
なっていること。
さらに、この3つの宗教に
『大天使ガブリエル』が出てくるところ。
このあたりを意識すると印象に残りやすいです。
つまりは、『大天使ガブリエル』といえば、この三宗教のことかな?
と、知識を繋げていきましょう。
ユダヤ教
今回紹介する三宗教の元祖と言えるのが、ユダヤ教になります。
- 年代:
紀元前のもの - 話:
天地創造から始まり、アダムとイブの子孫であり、選ばれし民、ユダヤ人の物語 - ポイント:
ユダヤ人の物語。最後に散り散りになってしまうが、
『世界の終わりが近づいたら、救世主が現れる』まで書かれており、今現在も続いている。
ユダヤ教の物語の流れをざっくり書くと、
になります。
では、さらに細かく見ていきましょう。
これ以上はいいという方は、
>> キリスト教
にスキップしてください。
創世記編
- 神が7日で天地創造し、アダムとイブを創った
- アダムとイブの子孫、ノアの話(ノアの箱舟)
- ノアの子孫、アブラハムがお告げで、
『子孫の代まで、カナンの地(イスラエル)を授けよう』といわれる
そして押さえていて欲しいのは、
- アダムとイブの子孫 が ノアであり、
- ノアの子孫 が アブラハムである。
-
そして、
アブラハムの子孫 が ユダヤ人であるということ。
つまり、以後出てくるユダヤ人は、
神が創り給うた子孫であることが分かる。
そしてさらに大事なことは、
『子孫の代まで、カナンの地(イスラエル)を授けよう』というお告げ。
これが後々効いてくる。
出エジプト編
話は飛んで、ユダヤ人がエジプトでこき使われる時代。
エジプトはファラオが治めていた。
- モーセが主人公
- カナンの地(イスラエル)に行きたいユダヤ人たち
- モーセが、こき使われていたユダヤ人を助け、一緒にカナン(パレスチナ)に向かう話
- モーセが超能力を使って、海を割る有名な話はこれ
- 途中のシナイ半島に着くと、石板に書かれた十戒をもらう(モーセの十戒)
先程、『カナンの地(イスラエル)を授けよう』とありましたね?
その神のお告げに従って、モーセはユダヤ人と共にエジプトを出て、カナンの地に向かいます。
まずは海を通り、シナイ半島に向かいます。
シナイ半島攻略編
- ここでの主人公はヨシュア
- 必死の思いでイスラエルに戻ると、そこはペリシテ人が支配している
イスラエルに戻ると、ペリシテ人が支配していました。
そのペリシテ人にゴリアテという巨人(2~3m)がおり、強大なゴリアテを倒さねばならない状況に。
ゴリアテ攻略編
- ダビデが主人公
- ダビデVS巨人ゴリアテ編
- ダビデが、布に石をいれ、ぶん投げてゴリアテの額に当てて倒す
- その後、イスラエルを建国し、ダビデが初代の王となる
ダビデ像で有名なダビデのあの格好は、
実は手に石を持っていて、ゴリアテと戦う場面。
また、余談ですがダビデ像を作ったのはミケランジェロです。
ソロモン神殿編
- ダビデの後はソロモン王が引き継ぐ
- エルサレムに石板を収めるためのソロモン神殿を作る
ローマ侵略編
ソロモン王が衰えた後の話。
- 色々あって、国が分かれたり戻ったり、攻め込まれたりする。
- その際にユダヤの民の前に『大天使ガブリエル』が現れる
- ガブリエルが、石板を収めるための神殿を再度立てなさいと告げる
しかしながら、その後、
- ローマ帝国が中東まで攻め込み、ユダヤ人は虐げられる
- 132年にローマとの戦争に敗れユダヤ人は離散する
離散というのは、
『イスラエルの地』に二度と来るなと追放されることです。
ここからユダヤ人の迫害が始まります。
そして聖書の最後には、
- 世界が終わりに近づいたら、救世主が現れるだろう
という言葉で終わり、それは今も続いているということです。
ユダヤ教まとめ
最後は詰め込みましたが、
神による天地創造から始まり、最後はローマに侵略され『世界の終わりに近づいたら、救世主が現れるであろう』で終わっているユダヤ教。断片的にみれば、一部知っている話があったと思います。
そして余談ですが、ユダヤ人は後に、金融面で力をつけてきます。
理由としては、これら3つの宗教では『利息は禁止』されています。
しかしながら、虐げられた際にユダヤの方々は宗教上禁止されていることを無理やり任されてしまうことになります。
これが転じて金融のエキスパートとなっていきます。
>> 参考記事:債券の発明家【ユダヤ人】と金融の関係)
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キリスト教
キリスト教は、
『イスラエルでローマ帝国に虐げられていたとき』を思い出しましょう。
そこに『マリアという女性』がいました、
というところから始まります。
また、ユダヤ教との大きな違いについてですが、
ユダヤ教とユダヤ人は密接に関わっており、
ユダヤ教に入るとは、ユダヤ人になることに等しいといえます。
なぜなら、ユダヤ教は『神から選ばれたユダヤ人は救われる』ですので、
ユダヤ教に入ることはユダヤ人になることと同義です。
それに比べキリスト教の考えでは、
『神を信じていれば、ユダヤ人じゃなくても救われる』
ということ。
そして、ユダヤ教よりも戒律は優しいのです。
では、見ていきましょう。
- 年代:
紀元0年 - 話:
『ローマに虐げられるユダヤ教の民マリアから生まれるイエス』がユダヤ教を改革した話 - ポイント:
ユダヤ人じゃなくとも、神を信じれば救われるということ。
流れとしては、
- マリアの受胎告知
- イエスの改革
- イエスの処刑と復活
- キリスト教の広がり
これ以上はいい、次に行きたい方は
イスラム教へ
マリアの受胎告知
ローマに虐げられるユダヤ人マリアのもとに、
『大天使ガブリエル』が現れ、
『神の子を妊娠しますよ』という告知を受ける。
それがイエス。
イエスの改革
『神を信じていれば、(ユダヤ人でなくとも)人は救われる』
と説いた。
しかしながら、この考えはユダヤ人(ユダヤ教)から見れば、
はずれた考えであるとして、仲間(ユダ)から裏切られる。
イエスの処刑と復活
イエスがローマに捕まり、他の罪人と同じように十字架のはりつけにされ処刑される。
その三日後、イエスの墓にいくとイエスの肉体が無く、
各地でイエスが奇跡を起こしまくる噂が流れる。
キリスト教の広がり
その後キリスト教の信者が増え続け、
ローマ帝国においても、キリスト教を抑えきれなくなってきた。
そしてある日ローマ皇帝は、キリスト教をローマ帝国の国教として正式に認め、それを皮切りにヨーロッパ全土に広がるようになる。
キリスト教まとめ
マリアの受胎告知に始まり、イエスの処刑から復活までを描いた物語になります。
ポイントはやはり、『神を信じれば、救われる。ユダヤ教でなくとも』という点です。
『世界はユダヤ人だけでは無い』そのような理由もあって、
ローマ帝国の国教までになったのだと思われます。
また、キリスト教と言われますが、
実はイエス自身がキリスト教を説いたわけでなく、その弟子たちがその教えを広め、
いつしかそれが『キリスト教』と呼ばれるようになりました。
イスラム教
- 年代:
600年ごろ - 話:
『中東メッカの町で商売人をしているムハンマド』が、
大天使ガブリエルに『暗唱して広めなさい』と言われ、それを広める話 - ポイント:
ユダヤ教、キリスト教から続き、第3章がイスラム教であること。
ユダヤ教・キリスト教よりも融通が利くところ
そして、話をまたまとめてみると、
- 大天使ガブリエルのお告げ
- メッカからの逃亡(ヒジュラ)
- ムハンマド、メッカに戻る
- 死期とコーラン
- エルサレムの地へ
もう十分という方は、三宗教のまとめへどうそ。
大天使ガブリエルのお告げ
メッカの町の商人として働いていたムハンマド。
ある日洞窟で瞑想をしていると、『大天使ガブリエル』が
『今から行ったことを暗唱しなさい』と言ってくる。
暗唱しなさいと言ったのは、ムハンマドは読み書きができなかったため。
内容はユダヤ教やキリスト教にもあった
- 一神教であること
- 偶像崇拝は禁止すること
などでした。
その後、ムハンマドは『暗唱』したことを、町の人に言い広めるようになります。
この段階で、何人か信者を仲間にします。
メッカからの逃亡(ヒジュラ)
ですが、そのころ住んでいた町は
『多神教』が信じられており、一神教の教えはあまり信じられず、
町から迫害され、メッカから逃亡します。
このメッカから逃げることを、ヒジュラと呼びます。
また、この年がイスラム元年となります。
ムハンマド、メッカに戻る
その後色々あって、メッカに戻るムハンマド。
この時、メッカをイスラム教の聖地にすることに決めます。
死期とコーラン
思い出して欲しいのは、読み書きができないムハンマド。
仲間たちが、死期が近いことを『大天使ガブリエル』に聞き、
ムハンマドが口頭で言ったことを仲間たちがまとめた書物が『コーラン』になる。
エルサレムの地へ
そして、ムハンマドが死ぬとき、
『大天使ガブリエル』と一緒にメッカからエルサレムに飛んでいく。
(文字通りビュンと飛んでいく)
エルサレムに着いた後、ガブリエルと共に昇天するムハンマド。
その昇天した際に、岩場に足跡が残ったとされる。
そして現在も、岩のドームとしてエルサレムにある。
イスラム教のまとめ
主人公はムハンマド。
『大天使ガブリエル』のお告げによって、町中に暗唱したことを広める。
最後も大天使ガブリエルに連れられ昇天する。
この宗教のポイントは、他の二つの宗教よりも融通が利くというところ。
お祈りをすればいいよ、3回離婚といえば離婚できる、など。
そして、めちゃくちゃよくできたシステムとのこと。
興味を持った方はぜひ調べてください。
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三宗教のまとめ
さて、ここまで言ったところで、
一度これら三宗教の関係をまとめてみましょう。
-
ユダヤ教から見ると:
『第2章』『第3章』として書かれている、キリスト教とイスラム教は認めたくない。 -
同様に、キリスト教から見ると:
『第3章』として書かれている、イスラム教は困る。 -
しかしながら、イスラム教から見ると:
二つの宗教の上に成り立っているものであるため、特に問題ない。
これは、
紀元前からスタートしているユダヤ教、
ローマに虐げられているユダヤの民の一人である聖母マリアから始まるキリスト教、
600年ごろから始まったイスラム教から分かりますね。
また、キリスト教からユダヤ教を見たとき、
-
ユダヤ教で書かれている部分は『旧約聖書』と呼ばれ、
イエスの話は『新約聖書』と呼ばれている。 -
しかしながら、ユダヤ教からすると、
自分たちの根幹の話を『旧約聖書』と呼ばれては、たまったものではない。
旧約聖書や新約聖書は何となく聞いたことがありますね。
これらはキリスト教から見た考え方と覚えておきましょう。
では、預言者として三宗教からみたときはどうでしょうか。
-
ユダヤ教:
モーセのみが預言者
イエスはあくまでも一人の信者 -
キリスト教:
イエスが神の子で、預言者 -
イスラム教:
モーセ→イエス→ムハンマドが預言者
そして、ムハンマド後の預言者は現れないとされている
となっています。
また、少し話は変わるのですが、
エルサレムについて見ていきましょう。
エルサレムは三宗教において、都度都度出てくる地名ですね。
現在ある聖地エルサレムにある施設で比べてみましょう。
- ユダヤ教:
嘆きの壁(壊された第二神殿の壁) - キリスト教:
聖墳墓協会(イエスが処刑された場所に教会を建てたとされる) - イスラム教:
岩のドーム(ムハンマドが大天使ガブリエルとともに昇天した場所とされる岩場)
さて、
なぜ最後に『エルサレムに三宗教の聖地が集まっている』という話をしたかというと、
イスラエル・パレスチナ問題とエルサレムが密接に関わってくるからです。
これ以上に関しては、気になった方は調べてみてください。
重要なことは、これから『エルサレム』『パレスチナ』『イスラエル』と聞いたら、
間違いなくこの三宗教が絡んでいるということ。
以上になります。
少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
参考文献
こちらもおススメです!
【宗教史①】〜ユダヤ教・キリスト教・イスラム教〜
【宗教史②】〜聖地エルサレムを巡るパレスチナ問題〜