起爆剤満載の【第一次世界大戦】
前回:『【絶対王政】から【国民】の国家へ』では、
絶対王政から、議会を通して物事を決める民主国家の国が出てきたことを説明しました。
そして、今回はいよいよ第一次世界大戦へと繋がっていきます。
スポンサードサーチ
どこの国の争いか
第一次世界大戦が起きた経緯を説明していくわけですが、ちょっぴり複雑です。まずは分かるところから見てみましょう。
まずは対戦国です。
- ◎ドイツ、オーストリア、イタリア
- イギリス・フランス、ロシア(ラストで抜ける)、アメリカ(ラストで入る)
メインはドイツなので、ドイツの動きを注目していくと分かりやすいです。
ドイツとオーストリアとイタリアは、もともと神聖ローマ帝国で一つでしたので、ばらばらだったのが一つになるという形になりました。
さて、この3国の相手をするのがイギリス、フランス、ロシアです。
ですが、ロシアは国内で革命が起き、戦線離脱をします。そして最後の最後では、ずっと中立だったアメリカが参戦し、第一次世界大戦は終わりを迎えます。
ちなみに、フランスは普仏戦争で屈辱的な負けを喫したため、ドイツを憎んでいます。
となると、なぜイギリスとフランスが組んでいるのでしょうか。
アメリカの植民地での争いで仲が悪かった2国ですが、あることをきっかけに手を組みます。
戦場とキーワード
戦地はヨーロッパです。そして、第一次世界大戦が起きるキーワードは、
- ファッショダ事件
- ドイツのバグダード鉄道とロシアの南下政策
- 他民族が集まるバルカン半島
ファッショダ事件
ファッショダ事件は、イギリスとフランスが結果的にちょっと友好的になる事件です。
このファッショダ事件とは、イギリスとフランスがその当時未開の地だったアフリカを支配していた際に起きました。
イギリスはアフリカ大陸の縦から、フランスはアフリカ大陸の横側から支配を始めます。すなわち、お互い十字になるように支配していくわけです。するとある点でぶつかることになりますね。
この地点が、アフリカ大陸のファッショダところでした。対面した二国は、ここで戦争になると思いきや、フランスが譲歩することで丸く収まります。
これ以来、イギリス・フランスはちょっぴり友好的となりました。
ドイツの3B制作・イギリスの3C政策・ロシアの南下政策
ドイツは、ベルリン・ビザンティウム(イスタンブール)・バグダードを、バグダード鉄道によって結ぼうとしました。これらの頭文字をとって3B政策といわれます。
バグダード鉄道ができると、ドイツの工業製品や兵隊をアジアに送り込めるようになります。この政策にピリつくのが、イギリスとロシアです。
イギリスはカイロ・ケープタウン・カルカッタを船で結ぶ、3C政策をしていました。
こちらも同じようにアジアに物資と兵隊を送ることが出来ました。
そのため、『俺の取り分を取るんじゃない』ということでイギリスがピリつきます。
また、ドイツの3B政策は、ロシアにも刺激を与えてしまいます。
というものの、ロシアは一度ヨーロッパへの南下政策を失敗しており、太平洋側への南下政策に切り替えます。そのため、ロシアは南下政策として日本を攻めようとし、日露戦争が起きます。しかしながら、日露戦争中のロシアでは革命が起き、戦争どころではなくなってしまいました。
そしてこの戦争に、アメリカのセオドア・ローズベルドが仲介に入り、日本が判定勝ちとなります。これによって、太平洋側への南下政策を諦めたロシアは、再度ヨーロッパへの南下政策を目指します。
ですが、そこにドイツのバグダード鉄道着手することで、『いや、俺らが南下できんやんけ』ということでピリつきます。
他民族が集まるバルカン半島(大陸)
バルカン半島は、イタリアのブーツの横の半島です。半島というか大陸です。ギリシャやイスタンブールがある、あの一帯です。
『バルカン半島』というので、小さく海に突きでた島を想像するかもしれませんが、間違いです。むしろバルカン大陸と言った方がしっくりくるでしょう。
さて、このバルカン大陸では、ドイツ寄りと呼ばれるオーストリアやオスマン帝国の諸国と、
ロシア寄りであるセルビア・ルーマニア・ブルガリア・ギリシャなどの諸国が存在します。ドイツ・ロシアとも、この諸国をうまく仲間に取り込んで、それぞれの思惑を成し遂げたいと思っていました。
ロシア・ドイツともにバルカン大陸の諸国と同盟を組んでいきます。
そして南下したいロシアと、バグダード鉄道を建設したいドイツがそれぞれ交差します。どうなるのかという状況下で、サラエヴォ事件をきっかけに、様々な起爆剤がが連鎖的に着火してしまいます。
スポンサードサーチ
トリガーであるサラエヴォ事件が勃発
オーストリアの皇太子が、ボスニアの首都サラエヴォでセルビア人に暗殺されます。
これがサラエヴォ事件です。こうして、
- オーストリア VS セルビア
の争いが起きるのですが、セルビアは親分であるロシアに救援を、
ヤバいと思ったオーストリアは、ドイツに救援します。
そしてフランスは『ドイツにバグダート鉄道敷かれるぐらいなら、ロシアの南下政策の方がマシ』ということでロシアと手を組み、イモヅル式にイギリスも味方します。サラエヴォ事件がきっかけに、イギリス・フランスをも巻き込んだ第一次世界大戦が勃発します
- ドイツ、オーストリア、イタリア
- イギリス・フランス、ロシア
戦後はどうなったのか
最終的には、ドイツの同盟国だったイタリアが土壇場で裏切り、フランス・イタリア・イギリス・ロシアに包囲されてしまいます。
さらに、ドイツが英仏へ向かうアメリカの輸送船を沈めてしまう事(無制限潜水艦作戦)で、中立だったアメリカが参戦します。そして第一次世界大戦はイギリス・フランス・アメリカ側の勝利となりました。
あれ、ロシアどこいった?
ここでややこしいのは、ロシアは途中で戦線離脱しています。というのも、ロシアで二度目の革命が起き、戦争を離脱しようという動きが高まったからです。
そして、世界で初めての社会主義の国、ソヴィエト社会主義共和国連邦が誕生します。
ソヴィエトとは、労働者や農民が作ったソヴィエトという自治組織のことです。日露戦争の最中でも革命が起き、ソヴィエトが各地で形成されていました。
ドイツのその後
ドイツにも革命がおき、ヴィルヘルム2世は皇帝の座から引きずり降ろされます。
また、敗戦国となったドイツはヴェルサイユ条約によって、今の日本円で1250兆円という天文学的な賠償金を請求され、またすべての植民地を失いました。
この当時、賠償金の異常な多さが、後の第2次世界大戦を起こすきっかけとなります。
スポンサードサーチ
まとめ・参考文献
このように、第一次世界大戦は、ドイツとロシアの政策がぶつかり、サラエヴォ事件をきっかけに勃発した戦争です。
またこの戦争では、戦車や航空機、毒ガス、潜水艦が使用され、恐ろしい数にまで死者が出ました。
というものの、第一次世界大戦前に、第二次産業革命によって、『機械で物を作る』から『機械で、物を作る機械を作る』となり、生産性が飛躍的に伸びた時代でもありました。
さて、この戦争の一番の問題点は、ドイツへの賠償金が多すぎたという事と言えます。
ドイツは、この賠償金を支払っていかなければならないのですが、この賠償金がもとになり、恐ろしい第二次世界大戦を引き起こすトリガーになります。
>> 次回:ドイツへの賠償金と【世界恐慌】
参考文献:一度読んだら忘れない世界史の教科書