お金と価値のグラフから、アメリカの政治家を見てみよう!2020年

現社

2020年11月にアメリカ大統領選挙が開催されます。
共和党代表トランプさんがまた覇権を握るか、はたまた民主党のバイデンさんになるのか注目されています。

前回、『 これを読めば、政治家を見るときに楽しくなる』では、お金の使い方と価値をグラフを使って、日本の政治家の立ち位置を見てきました。

今回はアメリカの政治家(2020/09/24現在)の立ち位置を見ていきたいと思います。

ちなみに、軸の見方は

  • 縦軸はお金の使い方:
    いろんなサービスを施したい:福祉
    自己責任で個人で頑張ってほしい:競争
  • 横軸は価値観:
    個人の自由や権利に重きを置く:個人
    個人の自由より、国として動く:

となっています。では見ていきましょう。

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民主党と共和党の位置を覚えよう

まずはアメリカ合衆国の2大政党である民主党と共和党の位置を見ていきましょう。

同じ民主党・共和党でも二種類あることに気づきますね。
同じ党の中でも、メインの軸は同じでも、細かいところでは考えが違います。そのため党の中でも派が分かれます。

分かりやすくキッパリ分かれるのは、民主党急進派と共和党保守派でしょう。
両極端に位置しています。穏健派や主流派は、『急進派や保守派の中間くらい』という意味です。

日本とアメリカの政治家を見ていく

では、いよいよ比較してみましょう。

安部さんとトランプさん

まずは安部さんとトランプさんでしょうか。
お金の使い方と価値が見事に一致しています。

安部さんは『愛国心を持って頑張っていこう』という方針です。
共和党保守派のトランプさんも『Make America Great Again!(偉大なアメリカよ再び!)』ということで、国を強くしていこうという思想がお互い似ていますね。だから仲が良かったのかもしれません。

そして最近総理になった菅さんも、どちらかというと安部さんの考えに近いです。
そのため、このままトランプさんと仲良くやっていくことを望んでいるでしょう。

また、価値観においてもう少し付け加えると、アメリカにおける価値観の問題というのは、日本よりもかなり重視されています。なぜなら、そこに宗教が絡むからです。

プロテスタントのその後【アメリカ合衆国】でも説明したように、アメリカで主流の宗教はプロテスタント福音派と呼ばれる人たちです。

福音派の宗派は、キリスト教の聖書にガッチリ基づいたものであるため、人工中絶や同性婚などの個人の自由に対し、断固反対です。

そして話は戻りますが、トランプさんの個人・国家の軸において、アメリカという強い国を取り戻したいという思いの他にも、プロテスタント福音派の考えも汲んでいるというところを覚えておくといいでしょう。

トランプVSバイデン

来年でトランプさんが大統領の任期を迎えるという事で、現在選挙の準備が進んでいます。
共和党と民主党の争いになりますが、共和党の代表は変わらずトランプさんです。そして、民主党の代表は、オバマ大統領の時に副大統領だったジョー・バイデンさんです。

↑(上図参照)オバマさんとバイデンさんともに、

民主党の穏健派よりの考えになっています(下図参照)↓

ちなみに民主党急進派でいえば、2016年度大統領選でトランプさんと争ったヒラリー・クリントンさんがそうでした。

トランプさんか、バイデンさんか

次のアメリカ大統領選でトランプさんではなく、バイデンさんに決まったとしましょう。
となると、日本の総理である菅さんは、トランプさん寄りの考えであるため、バイデンさんに決まったら日米関係に何か変化があるかも…と予測することができます。

トランプさんはアメリカを強くするため軍の拡大に力を入れています。バイデンさんは逆に、軍事費を削減して福祉に力を入れたいと考えている派です。
そのため、バイデンさんになれば、日米関係が弱くなってしまうのではないかと考えることができます。

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コラム:トランプさんの計算高さ

話の趣旨とは逸れるのですが、トランプさんって実は計算高いよね、という話をしていきましょう。

SNSで過激な発言をしたり、イスラエルを首都として認める発言をしたり、暴走気味と言われているトランプさんですが、実はすべて計算してやっているのではないかと言われています。問題になっている事を上げてみましょう。

SNSにおける過激な発言問題

SNSによる発言は、①選挙の空中戦と②メディアからの批判をするため、と言えます。

アメリカ大陸は広大で、演説をするために各地を回っていては非効率です。
そこでSNSやメディアなどのネットワーク利用して、自分の意思を伝えることが大事になります。これを空中戦と呼んだりします。

また、SNSでフォロアーを集めておけば、何かメディアから批判を受けても、『これはフェイクニュースだ!』ということで、うやむやにすることができますね。

メキシコに壁を作る問題

メキシコとの間に壁を作る問題に関しては、①中南米からの移民がカトリックなので防ぎたい、②壁はそもそもあったので成果として残しやすかった、というところでしょうか。

近年、アメリカは中南米系のヒスパニック(ラティーノとも呼ばれる)が増えてきています。
ヒスパニックの大半は、中南米諸国からやってきた移民です。お金を稼ぐために移民してこようと不法移民であろうと、アメリカとしては一度入ってしまえば追い出すという事はできません。

ヒスパニックのほとんどはカトリックで、カトリックの多くは、少数派の権利を主張する民主党に入れたがります。要するにトランプさん含め、共和党にとっては大問題なわけですね。

そこで、『不法移民には容赦しない』という考えに至ったのがトランプさんです。
他にも、写真付きIDが無ければ投票できない仕組みを広めようともしています。これもヒスパニックの多くは写真付きIDを持っていないため、投票しづらいようにしている工夫です。

以上の理由から『不法移民を取り締まるために、メキシコに壁を作る!』となったわけですが、実はこの壁は既にありました。
というのは、1993,4年にビルクリントンが、2001年にジョージ・W・ブッシュが、テロの取り締まり強化のためにすでに一部の壁を作っていたのです。トランプさんはそれを知っていて、一部の壁を付け足すことで『壁を作ったから、公約は果たせた』と言えるわけです。

中東のへの肩入れ問題

トランプさんとしては、自国の強化と中南米の移民取り締まりのみに注視したいため、中東問題には介入したくありません。
といいつつも、エルサレムをイスラエルの首都として認めたり、イランの軍事指導者ガセム・ソレイマニを無人攻撃機によって殺害したりしました。

さて、これにはどういった意図があるのでしょうか。
これらは共和党を支持しているプロテスタント福音派へのアピールに他なりません。

エルサレムと言うのは、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地です(意味が分からない方はこちらから)。
イスラエルはエルサレムが首都であると主張していましたが、パレスチナの領土問題が解決していないため、エルサレムを首都ですと言ってしまうと色々問題になってしまうため、世界としてはイスラエルのテルアビブっていところを首都にしてこうとなっているわけです。

そんなエルサレムをイスラエルの首都として認定しよう、と言ったのがトランプさんでした。
プロテスタント福音派というのは、聖書の教えに徹底的に従う傾向にあるため、この政策を聞いた福音派の人たちは『おおっ!やるじゃんトランプさん』となったことでしょう。

また、イランのソレイマニの殺害に関しても同様です。
イランは、イスラエルと敵対しています。敵対するイランの重要人物を殺害することで、イスラエルを支援していることにつながり、結果としてプロテスタント福音派に票集めのアピールになっているわけです。

まとめ

アメリカの政治家のお金の使い方と価値観をグラフにし、また日本の政治家とも比較しました。

また、参考程度ですが、トランプさんの政策のしたたかさも紹介しました。
これでニュースを見る時も少し視点を変えてみることができるのではないかと思います。