個性の【多神教】と包含する【一神教】
サピエンス全史に、
『フィクションを信じることによって、我々ホモサピエンスは進化した』とあります。
フィクションを信じるとは、『ないものを信じる』ということです。
貨幣であれ、国家であれ宗教であれ、人類はないものを信じています。紙切れである貨幣には価値があると皆さん信じていますよね?そのように人類全体の共通認識を持つことで、ほかのホモ属を淘汰してきました。
ホモ属と言われてもピンとこないかもしれません。
例えば犬なら、プードルやダックスフントなど種類があります。では、人間はどうでしょうか?実は、我々人間はホモ・サピエンスと呼ばれ、ホモ属は現在我々のみです。
それは、かつて存在したホモ属(ネアンデルタール、エレクトスなど)を、フィクションによって共通認識を持ち、大人数で連携することで勝ち残っていきました。
その中のフィクションでも、宗教という点を取り上げていきたいと思います。
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多神教と一神教
宗教というと、多神教と一神教を聞いたことがあると思います。
ざっとまとめると、
- 多神教:たくさんいて個性を持つ
- 一神教:多神教の神々を包含する
ということです。
多神教はどう始まったか
多神教の始まりは、『村同士の争いに勝つため』でした。
かつて村の中では、アニミズムという『自然物に霊が宿っている信仰』がありました。
例えば村にある石を拝んだり、村にある大きな木に対して祈っていたわけです。
ですが、あることをきっかけにして、多神教の方が強く信じられるようになりました。
村同士の争いです。
今までは村の中で今日も平和に過ごせますように、ぐらいの願いでしたが、
『村の争いに勝てますように』となると、石や木に祈るだけでは弱そうですね。
ということで、『勝ちたい』という欲望から生まれたのが『戦の神』になるわけです。戦の神に限らず、火の神だったり水の神、愛の神など人の欲望に合わせてどんどん生まれます。
多神教はたくさんいて良い
このように、人間の強い欲望の中で生まれたのが多神教ですから、各地でいろんな種類の多神教が生まれます。
ギリシャ神話だったり、ローマ神話だったりです。しかし、多神教同士でぶつかることはありません。
もっとわかりやすい例でいうと、ひとそれぞれ違う漫画を好きになっていいという感覚に似てます。A君はワンピースが好きだけど、B君は鬼滅の刃が好き、という関係でしょうか。
つまり、多神教自体はそれぞれが干渉することは少なかったわけです。
多神教を包含する
『様々な多神教のてっぺんにいて、包含する最強の神』として、一神教が生まれるようになります。
今まで信じてきた『戦の神』や『愛の神』は、すべて一神教が包括するという考え方が広まります。それらが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教ですね。
各々は、多神教ほど仲良くできません。一神教が多神教を認めることはできませんので、淘汰する必要があります。特にキリスト教は、ローマで国教になったため、信者の数が多く、さまざまな多神教を廃してきた歴史があります。
また、同じ一神教でも、ユダヤ教はキリスト教を良くは思っていないし、キリスト教はイスラム教を良く思っていません。
くわしくは、ズバリ一言でまとめたい【ユダヤ教】【キリスト教】【イスラム教】を参考にしてください。
まとめ
- アニミズム:自然物への信仰からはじまる
- 多神教:村同士の争いから、より具体的になる
- 一神教:多神教の個性を包含するかたちで生まれる、多神教を淘汰