19世紀の財閥の覇者【ロスチャイルド家】
19世紀における世界三大財閥というと、
ロックフェラー(アメリカ)、モルガン(アメリカ)、ロスチャイルド家(ヨーロッパ)です。
ヨーロッパの貴族でいうと今まで、芸術はメディチ家、王族としての繁栄ではハプスブルグ家でしたが、ロスチャイルド家は主に金融で成功します。
さて、どのように繁栄していったのでしょうか。
スポンサードサーチ
初代マイヤーと赤い表札
初代マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドは、フランクフルトで郵便制度を利用した古銭商を営んでいました。
初代というのもちょっとおかしいですが、ここから富豪への道が始まったとされます。またマイヤーは、ユダヤ人という事もあり、良い環境で生活できたわけではありません。
古銭商というのは、今でいう通信販売に近いものです。Amazonや楽天ですね。
コインのカタログを貴族に渡し、そのコインを郵便制度を使って送るというものでした。コインなので送料は安く抑えられ、上手に商売できたわけです。
また、その当時の神聖ローマ帝国(のちのプロイセンやドイツ)において、ロスチャイルドは『ロートシルト』と発音していました。意味は赤い表札という意味です。この赤い表札が目印となって繁盛しました。
こうして、マイヤーの名は貴族に知れ渡り、金融業を任されるようになっていきます。
ですが、この時点で19世紀の財閥になったわけではありません。
教育と戦略がスゴすぎた
マイヤーに5男5女の子供が生まれると、息子たちにのみ家業を継がせるため、教育を行います。
- 息子ひとりひとり家庭教師をつける
- 5か国をマスターさせる
5か国語は、ドイツ語、英語、イタリア語、フランス語そして、ヘブライ語です。最後のヘブライ語はユダヤ教によるものです。
ですが、なぜ5か国語?と思うかもしれません。すぐに分かります。
そして成長した息子たちを以下の拠点に送り、銀行業をやらせます
- 【アムシェル】ドイツフランクフルト
- 【サロモン】オーストリア:ウィーン
- 【ネイサン】イギリス:ロンドン
- 【カール】イタリア:ナポリ
- 【ジェームズ】フランス:パリ
銀行と言っても今のような企業に貸すわけでなく、主に戦争のための国債を発行するビジネスをしていました。なので、ロスチャイルド家にすれば、戦争が起きたらビジネスチャンスとなるわけです。
スポンサードサーチ
ロスチャイルド家の情報網
ロスチャイルド家が評価されるポイントは、銀行をしていたから、5か国に拠点を設けたからではなく、ズバリ情報網に力を入れていた点です。
郵便制度の欠点
当時の馬・伝書バト・船による郵便制度はまだできたばっかりという点もあり、手紙の内容が盗まれる恐れがありました。
情報の伝達としては良いのですが、盗まれやすかったわけですね。
そこで効いてくるのが、息子たちに4か国語とヘブライ語を教えていたというところです。(ちなみにウィーンはドイツ語です)
この4か国語+ヘブライ語を手紙に混ぜることによって手紙盗み見られても、何が書いてあるのかわからない、という状態にしたわけですね。
そして、この手紙による情報交換を、毎日、各国の兄弟に送り合っていました。
『今日フランクフルトでは何があった』、『何をした』、『町は今こんな状況である』、などなど。今であれば、LINEやTwitterなどで簡単に情報交換ができますが、それと同じことをロスチャイルド家も行っていたわけです。まさに情報を制するものが、世を制すと言ったところでしょうか。
ロスチャイルドの掟
ロスチャイルド家は、あるルールを徹底的に守ることで一族を繁栄させます。
それは、親族の中で結婚するという事です。今の我々が聞くと『あれ?』と思うかもしれませんが、実はロスチャイルド家に限らず、当時の感覚としてはおかしくなかったのです。
『医学的に良くないこと』と分かるまでは、親族同士で結婚が行われていました。つまり、おじさんの子供と結婚する、ということがあったわけですね。なぜこのような形をとったのかというと、
- 財産を閉じるため
- 一族の連帯感を増すため
でした。
他の家の者と結婚すれば、財産のいくらかは、他の家に行ってしまう可能性が高くなります。それを避けるためですね。
また、会社のように連帯感を増すためでもありました。
スポンサードサーチ
ロスチャイルド家の他の業績
ロスチャイルド家は金融だけではありません。鉄道やワインにも精通していました。
ワイン
ワインの5大シャトーのうち二つはロスチャイルド家が所有しています。
パリ家のシャトー ラフィット・ロートシルトと、ロンドン家のシャトー ムートン・ロートシルトです。
シャトーというのは、ワインを作る生産所です。城という意味ですが、広大な土地に本当の城のような建物が建っているのです。その広大な土地をロスチャイルド家が所有しています。
鉄道業
鉄道業はどうでしょうか。
イギリスで蒸気機関車による鉄道が世界で初めて敷かれてから、ウィーンではハプスブルグ鉄道、パリでは北フランス鉄道が敷かれます。これらもロスチャイルド家の功績です。
当初鉄道という乗り物は保守派の人たちが大勢いました。『速い乗り物に乗っていると、脳に悪影響がある』と言われていたのです。それは今でも同じですね。何か新しいものが流行るときは、『~に悪影響がある』と言われます。鉄道もその一つでした。
ウィーンのハプスブルグ家も、その保守派の代表でした。
イギリスで蒸気機関ができてから『ヨーロッパに鉄道の波が来る!』と感じたウィーンのサロモンは、ハプスブルグ家の皇帝に掛け合います。そこで、鉄道を敷きたいという旨と、走らせる蒸気機関車の名前を『フェルディナント号』にしても良いかと許可を取りに行くわけです。
フェルディナント号というのは、ハプスブルグ家の皇帝の名前です。
さらに、音楽による印象効果をつけようと、鉄道のテーマソングを作曲家『ヨハン・シュトラウス2世』に作らせ、『美しく碧きドナウ』が完成します。
つまりは、『鉄道×フェルディナント号×美しく碧きドナウ』を掛け合わせることによって、反対派が多かったにもかかわらずハプスブルグ鉄道は大成功しました。
このようにしてロスチャイルド家は文化・政治・経済に影響力を持つようになっていったわけです。
ロスチャイルド家の衰退
ですが、あることをきっかけに衰退を始めます。
第一次世界大戦
それが第一次世界大戦です。これによって、5つあったロスチャイルド家の拠点も、パリとロンドンの2家になってしまいます。フランクフルト家は経営が厳しくなり、ウィーンはハプスブルグ家との連携が強かったため、ハプスブルグ家の衰退とともに消え去りました。しかしながらロスチャイルド家が2家になってしまうのにはもう一つ理由がありました。
相続税が厳しくなる
実は相続税が上がったことで、財産を保てなくなったのです。
『?そんなことで?』と思うかもしれません。
しかしながら、ロスチャイルド家は、一族の中で結婚していたため、親から子や孫に財産を渡すことで力を保ってきました。
しかしながら、その相続税が値上がりすることによって、どうにも立ち行かなくなってきたのです。そのため屋敷や土地を売り渡す結果になってしまいます。それによってナポリの拠点もつぶれてしまいました。
第二次世界大戦
第二次世界大戦ごろになると、ロスチャイルド家は昔からいる富豪、すなわち古豪と呼ばれるようになっていました。
拠点は何か所かつぶれたものの、それでもうまくやりくりしてきました。
ですが、その古豪であるという点を、ナチス・ドイツが利用します。ロスチャイルド家はユダヤ人であり、さらに金融において数々の戦争を裏で操作してきました。それによって、ドイツ人はユダヤ人のせいで苦しめられているのだ、というプロパガンダ映画を公開し、迫害を受ける形となるのです。
ロスチャイルド家の現在
そして今は3つの金融グループを営み、ユダヤ人支援や慈善活動などをしているそうです
スポンサードサーチ
まとめ・参考文献
ロスチャイルド家は、金融と鉄道とワインで、有名な富豪。今も金融の仕事をしている!
・【ロスチャイルド家①】世界を裏で牛耳る華麗なる一族
・【ロスチャイルド家②】ユダヤ人大富豪にまつわる陰謀論の真実
・富の王国 ロスチャイルド